小泉八雲記念館・小泉八雲旧居

先日、島根県松江市にある小泉八雲記念館、それから小泉八雲旧居に行ってきました。 小泉八雲記念館には直筆の原稿、それから講義用のメモ、それから当時に発行された本などが置いてありました。中でも、興味深かったのはそれらの本とともに物語の舞台となった場面の写真の展示です。その写真を見ることで小泉八雲の書きたかった世界がより鮮明に分かるような気がしました。 小泉八雲旧居では実際に小泉八雲が使っていた書斎、机などが展示されていましたが、中でも注目すべき点は小泉八雲が気に入っていた庭です。私が行ったときにはカエルの鳴き声が美しく響いていました。こじんまりとはしながらも、日本の魅力がそこにはあります。まさしく、西洋人にとっては「知られぬ日本の面影」だったのだろうと想像できます。 島根県松江市、あまり訪れる機会もないかもしれませんが、近くに行く機会があれば、是非小泉八雲記念館それから小泉八雲旧居にも足を運んでいただければと思います。

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怪談 ー映画ー

小泉八雲の「怪談」、小林正樹監督により、1965年に映画化されました。 180分にも及ぶ長編ですが、映像にされたのは『黒髪』『耳なし芳一』『雪女』『茶碗の中』の4編です。 『耳なし芳一』、 『雪女』はもちろん「怪談」の中からの作品ですが、『黒髪』と『茶碗の中』は実は小泉八雲の「怪談」の中にはありません。『黒髪』は小泉八雲の「影」の中から、『茶碗の中』は同じく「骨董」の中から選出です。ちなみに『黒髪』の「影」の中では「和解」と題されています。 皆さんもご存知のように小泉八雲の「怪談」は単なるホラーではなく、日本人の物の感じ方や日本人の情緒、ものの哀れといった感情が描かれています。ですので映画『怪談』においても、ホラーの要素よりも、日本的な美しさ、日本人情緒、日本人のものの考え方などがメインに描かれているように思います。『黒髪』や『茶碗の中』も、そういった観点から小林監督に選ばれたのではないかと思います。 映画としては180分という長い作品ですので、展開の速い映像に慣れた現代人には、ややスローであると感じられるところもなきにしもあらずですが、じっくりと「怪談」の世界を味わうには良いのではないでしょうか。 この映画『怪談』も小泉八雲の「怪談」に合わせて必見のように私は思います。 なおこの作品の音楽は、武満徹が担当しており、非常に良い雰囲気を出しております。 怪談 [DVD]東宝 2003-06-21 Amazonアソシエイト by

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Kwaidan

アイルランド人の父とギリシア人の母を持つ小泉八雲こと、Lafcadio Hearnが日本に移住して耳にした日本各地に伝わるちょっと怖い昔話、それをまとめたものがこの"Kwaidan"。 今昔物語や古今著聞集などが原点の日本人であればお馴染みの話が英語で語られています。 ほとんどが知っている話ですが、"Yukionna"や"Rokurokubi"、のっぺらぼうの"Mujina"、なども読んでみると再発見もあり、非常に新鮮です。"Rokurokubi"などはもともとはそんな話だったのかと今回この本を読んで思いました。 個人的には、役人が機転をきかせる"Diplomacy" や鬼の切なさが伝わる"Jikininki"が印象に残りました。 各ストーリーとも、数ページと短いので、忙しい人や長編が苦手な方も十分にチャレンジしていただけます。 日本人が日本を外国に紹介する本としては、新渡戸稲造の"Bushido"や岡倉天心の "Tea of Book"などが有名ですが、この"Kwaidan"は外国人が日本を紹介するものとして、外国人の興味を引くものだと思います。しかも、この"Kwaidan"は単なるホラー小説ではなく、物語の中に日本人の心情や日本ならではの繊細さが含まれています。西洋化されていく中で我々が忘れている、あるいは失くしてしまった古き良き日本がこの本には外国人の手によって書かれています。 ですので、単に日本に興味を持つ外国人にはお勧めの一冊というのではなく、我々日本…

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JAPAN -a pictorial portrait-

旅行やホームステイなど、外国の方へのお土産に何がいいだろうかと悩んだことのある方はたくさんおられると思います。そして、まさに今、困っている方もおられると思います。今回はそういういった方々のためにおススメの1冊をご紹介します。 "JAPAN -a pictorial portrait-" この本には日本の四季、および北海道から沖縄まで、日本を代表する建物や風景の写真が収められており、まさしく美しい日本がここにはあります。そして、各写真に簡単に英文で説明が加えられていますので、この本を見ながら、ホストファミリーや外国人の友人に日本を紹介することができます。 今はネットで日本の写真などいくらでも見ることができますが、この本ほど上手に日本の良さを抽出しているものは少ないと思います。この本があれば、「日本はこんな美しい国なんだよ。」と自信を持ってお話することができます。また同時に、外国の人だけではなく、私たちに日本人にとっても日本って美しい国だなと感じることのできる1冊です。 JAPAN:a pictorial portraitIBCパブリッシング IBCパブリッシング Amazonアソシエイト by

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The Time Keeper

「時間が足りない。」「あとどれだけ時間があるかな。」「時間が止まればいいのに。」など、人の生活に時間が大きく関わっています。 今回のお話は、その「時間」に関わるお話です。 太古に生きたAlli、現代に生きる高校生Sarah Lemonと大富豪Victor Delamonte、何の脈絡もない3人のストーリーが、ミッチ・アルボム氏のこれまでの作品同様、短い章立てで代わる代わる語られます。 普通に考えれば絶対に出会うはずのない3人のストーリーが絡み合い、最後には、時間の持つ意味が明らかになります。 アルボム氏の”Five people you meet in heaven" (http://learnfrombooks.at.webry.info/200812/article_8.html)は「人生の意味」に関する優しさに満ちあふれた素晴らしいストーリーでしたが、今回の作品は「時間」に関する素晴らしい寓話であり、また同時に、時間に追われる現代人へのメッセージです。 時間には意味があるのです。その意味は、この本を読んで、皆さんの目でご確認ください。 氏の他の作品同様、英語は非常に読みやすく、多読に慣れていない人でも読みやすいものです。また、上述のように、章立ても短いので少しずつ読み進める事もできます。是非、ご一読を 難易度 ★★★☆☆ 満足度 ★★★★★ The Time KeeperHyperion Mitch Albom Am…

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英語多読のススメ

英語を聞いていても理解できないのはなぜなのか、これには2つの理由があります。 1. 話されている単語を知らない。 2. 英語のスピードについていけない。 まず、1. 話されている単語を知らない、ということですが、これの対策は、単語を覚えるしかありません。単語の学習はどれだけレベルが上がっても終わりはありません。特に、皆さんのレベルでは単語を覚えれば覚えるほど理解できる英語がぐんぐん増えていきます。がんばって1つでも多くの単語を覚えてください。 次に、書いてもらえばわかるけど聞いているだけではわからないといったような、2. 英語のスピードについていけない、ということについてですが、この原因は、英語の語順に慣れていないということです。皆さんもおわかりのように英語と日本語は語順が異なります。英語ではSVO(主語、動詞、それから目的語)、やSVOO(主語、動詞、目的語、目的語)のようになっていますね。しかも、それに加えて、関係代名詞というものもあります。 ですので、英語の語順に慣れていないと、英語をたくさん聞いているうちに皆さんの英語脳がパンク、あるいはオーバーヒートしてしまいます。これが英語のスピードについていけない理由です。 これへの対応策は英語の語順に慣れて、皆さんの脳内での英語処理速度を上げるしかありません。そして、英語を英語の語順で理解できるようになれば問題は解決です。そして、そのためのトレーニングとしては、英語をたくさん読むことです。決して難しいものを読む必要は…

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英語で日本紹介ハンドブック

最近は通訳案内士受験に向けての参考書や日本を紹介する本も多く出版されていますが、今回は、私が通訳案内士の受験の際に、よく使った参考書、「英語で日本紹介ハンドブック」を紹介します。 この本は実際に通訳案内士として活躍されている松本美江さんが書かれた本で、日本の地理から文化・芸術・行事、家計や教育といった日本人の一般的な生活に関することまで多くの事柄が含まれています。また、外国人が持つ疑問や通訳案内士の仕事に関するコラムもあり、いろいろと勉強になります。 私がこの本をオススメする理由は、レイアウトの読みやすさと1つ1つの項目における説明が長過ぎないという点、それから難しい表現を使い過ぎていないという点にあります。勉強に使うものですから、心理的な負担は少ないにこした事ありません。そして通訳案内士の試験、あるいは、通訳案内士にとって必要なのは日本、および日本文化における幅広い知識です。ですので、いきなり深い説明を英語でされても困ってしまう、というのも正直なところです。まず、この本で全体を軽く押さえてから、自分の興味のあるところ、自分が詳しく知らなければならないところは、またそれ用のテキストを使うという方が良いのではないでしょうか。 また、こういった日本を紹介する参考書は、英文法や単語帳といった参考書よりもそれぞれ内容に大きな違いがあるように思います。要するに、同じ事に対する説明でも参考書によって記述に結構差があるということです。ですので、これ1冊だけ勉強して終了というよりは、何冊か勉強し…

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通訳案内士

富士山とその周辺地域が世界文化遺産、和食が世界無形文化遺産となり、さらには、2020年には東京五輪が行われることとなり、経済以外でも日本への関心が高まっています。 しかしながら、我々、日本人は意外と自分の国のことを知らない、あるいは外国人に日本のことを聞かれてもうまく答えられない、ということはよくあることです。 私もこれではいけないと思い、通訳案内士の試験にチャレンジしました。 通訳案内士は、報酬を受けて外国人に付き添い、外国語を用いて旅行を案内するのに必要な資格であり、語学関係で唯一の国家資格です。日本政府観光局のホームページには、「通訳案内士(通訳ガイド)は、単に語学力が優秀であるだけでなく、日本の地理、日本の歴史、さらに、産業、経済、政治および文化といった分野に至る幅広い知識、教養を持って日本を紹介するという重要な役割を負っています。~省略~、通訳案内士(通訳ガイド)の仕事は、"民間外交官"とも言える国際親善の一翼を担うやりがいのある仕事です。」と記載されています。 試験は1次試験が、外国語、日本地理、日本史、一般常識、2次試験が面接となっています。外国語は英語の他に、ドイツ語、フランス語をはじめ、韓国語、中国語など、計10カ国語あり、それぞれ自分がガイドを行う言語での試験が必要となります。 私は英検1級を取得しているので、1次試験の外国語(英語)が免除されましたが、国内旅行取扱業務主任者の資格を持っていれば、日本地理の試験が免除されるなどの優遇措置もあります。…

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Vocabulary Builder 語彙力増強 No.6 ~楽しくいこう~

以前、ご紹介したVocabulary Cartoons (http://learnfrombooks.at.webry.info/200907/article_1.html)の年少者向けになります。 現地では、中学生程度の内容かと思われますが、日本のレベルで言うと、英検2級~準1級程度の単語が中心となっています。 ただ、中には、英検1級の単語帳に出てきたものもあれば、私の知らない単語も少なからず含まれているので、現地の人が必要と考える単語と我々が習う単語の中には、多少の乖離、あるいは習う順序の相違があるのかもしれません。いずれにしても、ここに出ている単語を知っておいて損はないでしょう。 本のスタイルは、以前のVocabulary Cartoonsと全く同様で、思いっきりの駄洒落に、それを表したイラスト、そして例文3つというスタイルです。 中には、吹き出してしまいそうなイラストもあります。 例えば、1ページ目には、 abducted ducks というイラストが描かれており、それ以外にも、 Friendly clouds trying to refrain from dropping rain. Dave detests taking tests. といった楽しい例文に楽しいイラストが満載です。 英検準1級対策としてがんばりたい人にもオススメですし、あるいは、単に楽しく語彙を増やしたいという人にもオススメです。 Vocabulary…

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Merry Chrsitmas & Happy New Year!

皆様、この1年も「TOEIC960点取得者の英語多読日記」を閲覧いただき、誠にありがとうございました。来たる平成26年が皆様にとって素晴らしいものとなるよう、心より、お祈り申し上げます。 来年はもう少し更新ペースが上がるように()努力したいと思います

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selfie

“selfie" Oxford dictionaries が選んだ今年の英単語です。 日本でいう流行語大賞みたいなノリに近いのかと思いますが、こちらは何か風格を感じますね しかし、スマートフォンで写真を撮りまくるのは、日本だけではなく世界的な現象ということですね ちなみに、この"selfie"名詞で、複数形は"selfies"となり、語義は以下の通りです。 a photograph that one has taken of oneself, typically one taken with a smartphone or webcam and uploaded to a social media website: occasional selfies are acceptable, but posting a new picture of yourself everyday isn’t necessary http://japan.cnet.com/news/society/35040205/ http://www.bbc.co.uk/news/uk-24992393

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The Sand of Time

スペイン、バスク地方の独立を目指す革命軍と修道院のシスターが行動を共にすることに!? 奇想天外な発想ですが、これはシドニー・シェルダン氏の作品の中でも、実は私のお気に入りです。 あまり知られていることではないかもしれませんが、スペインは複数の民族から成り立つ国家です。EUの成立と共に、スペインから独立を希望する民族も実際にあります。この物語は、そんな民族の一つ、バスク民族の革命軍のリーダー、Jaime Miroとそれを追う警察のColonel Acoca、そして、その騒動に巻き込まれてしまった修道院の4人のシスター、Lucia、Graciella、Megan、Teresaを中心に進んで行きます。 それぞれがそれぞれに過去を抱え、それぞれの目指すものに向かって懸命に生きている姿が、過去の描写と細やかな心情描写を含みながら生き生きと描かれています。シドニー・シェルダンの物語らしく、それぞれの過去は決して平凡ではなく、どんどん話が大きくなります。そして、途中にラブロマンスも含んで物語はテンポ良く進んでいくので、どんどんページをめくってしまいます。 シドニー・シェルダンにしては異色作かと思いますが、物語のテンポの良さ、読者を引き込む魅力は他の作品に勝るとも劣りません。シドニー・シェルダン好きはもちろん、そうでない人も、是非、ご一読を。 難易度 ★★★☆☆ 満足度 ★★★★★ The Sands of TimeGrand Central Publishing Si…

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TOEIC960点取得者の英語多読日記ー5周年記念ー

TOEIC960点取得者の英語多読日記、本日をもって5周年となりました。5周年記念ということで何かあるというわけでは残念ながらありませんが、このブログを閲覧いただいたすべての方に心よりお礼申し上げます。本当にありがとうございます。 皆様の英語学習の少しでもお役に立てるよう今後とも情報発信をしていきたいと思います。相変わらずマイペースな更新ではありますが、今後とも宜しくお願い致します。 Big R

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日本人が誤解する英語

「日本人の英語」、「続日本人の英語」の著者、マーク・ピーターセン氏による「日本人が誤解する英語」。 「日本人の英語」と同様に、我々日本人が間違えやすいところ、時制、仮定法、冠詞、使役動詞、接続詞、関係代名詞、受動態などに的を絞って解説されています。多少、これまでの作品と内容が重複するところもあり、勉強熱心な方の中には「そんなことは知っているよ」という部分もあるかとは思いますが、ご自身の知識を再確認するためにも一読をお勧めします。 というのも、私もこの本を読んで、やはり得るところ、あるいは再確認したところがあったからです。冠詞などは得意な人というのは日本人英語学習者の中にはいないのではないかと思いますし、仮定法はこれまでの作品には含まれておらず、今回初登場となっています。 例えば、良く使う "I'd like to -" という言い方は、"I want to -" より丁寧な言い方と教えられますが、なぜ、丁寧なのでしょうか? その謎も、この仮定法の章で明らかにされます。 また、私のような英語を教える仕事をしているものにとっては、自らの知識を再確認することはもちろんですが、英語の教え方の一つの見本としても大いに役に立ちます。英語学習者としてはもちろんですが、英語教育者としても、やはり読んで良かったと思える1冊です。 では、皆さんに問題です。 "Hey, honey. we need to fix the show in the bathroom." この文に答…

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永遠のゼロ

「海賊と呼ばれた男」で本屋大賞1位を受賞した百田 尚樹氏。その百田尚樹氏のデビュー作がこの「永遠のゼロ」。 ゼロとは第2次世界大戦で活躍した戦闘機、零戦のことです。なぜ、零戦という名がついたのかというと、この戦闘機が開発されたのが皇紀2600年だっかたらだそうです。英語多読とは直接関係はありませんが、この本があまりに興味深かったので、また、終戦記念日が近くもありますので、今回はこの「永遠のゼロ」をご紹介します。 この本を読んで、まずはじめの感想は、自分はこの世界大戦のことを何も知らないな、ということでした。学校で習うのは、満州事変、南京大虐殺、原爆投下、ポツダム宣言で、戦後、アメリカの統治の元、民主主義が導入され、平和で豊かな時代となりました、ということで、戦前の日本は悪い国だったけれども、アメリカの指導の元、良い国に生まれ変わりましたという内容だったと思います。ですから、当時、どのような戦いが繰り広げられ、兵士がどのような気持ちでいたか、ということは知る由もありませんでした。 そして、この本の素晴らしいところは、単に戦争を描写するのではなく、戦争を知らない2人の姉弟を登場させ、その存在を知らなかった実の祖父の足跡を追うという形式を採っているところです。 特攻隊で亡くなったらしい姉弟の祖父。2人はその祖父がどんな人だったのか、祖父を知る人を訪ね歩き、祖父の人となりを知ると同時に第2次世界大戦への理解を深めて行きます。そして、読者は姉弟と同じように第2次世界大戦への理解を深め…

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Peter Rabbit

Beatrix Potter氏の''Peter Rabbit''、 そのキャラクターはとても有名ですが、意外とそのお話を読んだことがある人は少ないのではないでしょうか? 短いストーリーなので英語で読むことも十分可能です。 Peterは4人兄弟の末っ子。お兄ちゃんたちはお母さんの言うこともちゃんと聞く優秀な子達ですが、Peterはあまり言うことを聞かないいたずらっ子。そのいたずらっ子のPeterは、普段お母さんに止められているにも関わらず、お母さんが留守の間にMcGregorさんの畑に入り込んでしまいます。 そして、レタスや大根を食べて満腹になったところで、なんとMcGregorさんに見つかってしまいます。どんどん追いかけてくるMcGregorさんと必死に逃げるPeter。その結末はいかに 是非、1度英語で読んでみてください。 The Tale of Peter Rabbit (Picture Puffins)Puffin Beatrix Potter Amazonアソシエイト by

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Stanley Yelnats' Survival Guide to Camp Green Lake

Louis Sachar の”Holes” がベストセラーとなって、Camp Green Lake は閉鎖となったものの有名となり、再度、少年の更生施設として使われるようになりました、という前提で、Stanley Yelnats が当時のことを思い出して、これからCamp Green Lake に行くかもしれない少年たちに向けてアドバイスを送るという趣旨で書かれたのが、この"Stanley Yelnats' Survival Guide to Camp Green Lake" "Holes" の続編としては、ArmpitがCamp Green Lake を出てから2年後の物語である"Small Steps" (http://learnfrombooks.at.webry.info/200812/article_7.html)がありますが、そちらは更生施設を出て立ち直りを目指しているArmpit の思春期の心の成長を描く甘酸っぱい青春小説といった趣であり、それはそれで充分楽しめるのですが、単純に"Holes"の世界をもっと楽しみたいという方には、この”Stanley Yelnats' Survival Guide to Camp Green Lake" がオススメです。 Stanley がどのように考えてCamp Green Lake で過ごしていたのか、とか、Camp Green Lake で気をつけるべきこと、"Holes" の中で触れられなかったいくつかの出来事が書かれており、それ…

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The Boy Who Lost His Face

日本語には、「顔が立たない」とか、「顔を潰された」というような表現がありますが、「顔を失くした少年」、これは、皆さんご存知、Louis Sacharの作品 仲良しの友達がやんちゃなグループに入り、それに付いていったおとなしい少年David。 その子達が近所のおばあちゃんから杖を盗もうとするのに付き合うのですが、なかなか気が乗らない。 結局その子達がいたずらをしているのを見ているだけだったのですが、なんとそのおばあちゃんに呪いをかけられて・・・ 弱気な少年の心の葛藤とそれを取り巻く友人づきあい、淡い恋心、家族関係など、思春期の少年の心の動きをうまく表現しています。 Sacharの他の作品に比べるとやや地味な印象がありますが、これはこれで充分に面白いと思います。 ちなみに、呪いと言っても、Holesのようなプロットを楽しむ作品ではなく、上述のように、思春期の少年の心の成長を楽しむ作品であることを予めお知りおき下さい。 私にとってSacharは、Wayside Story シリーズのようなハチャメチャな面白さも魅力的ですが、こうした少年の心の成長を優しく描くところにあります。個人的には、こういう話は結構癒されます。癒しのSacharと言うべきかわかりませんが、Sacharのそうした面が好きな人には、この本はオススメです。 また、章立ても短いので、多読初心者の方にもオススメできます。 …

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Les Miserables

映画館でLes Miserables が上映されています。もうすでにご覧になった方も多いのではないかと思いますが、今回はあのミュージカルの映画化です。 ミュージカルの映画化は、舞台のミュージカルを単にそのまま映画にするだけではうまくいくことはなく、そこに何らかの工夫が必要となります。その工夫が無かったり、もうひとつだったりすると成功しません。舞台と映画は別物なのです。 というわけで、期待半分、不安半分で観に行ったのですが、今回は良かったと思います。今回の成功点は、舞台では描ききれない場面、特に背景描写を丁寧に行ったところにあると思います。例えば、冒頭の囚人たちの労働場面、ジャン・バルジャンが仮出所した後の職探しの場面、バリケードを作る場面等です。そして、何より最後のジャン・バルジャンの臨終のシーン、ここを大写しにできるのも映画版の魅力です。 こうした工夫によって、ミュージカルと比べてどうしても迫力不足となってしまう点をうまくカバーし、別の魅力を引き出すことに成功しています。 ただ、個人的には、このミュージカルの最大の魅力は音楽にあると思うので、この映画を観て気に入った人は、ミュージカル25周年記念コンサートの映像を観ていただきたいと思います。 抜群の歌唱力で名曲を次々と熱唱されると、本当に悶絶ものです。 以前、オペラ座の怪人の25周年記念講演の時にも書きましたが(http://learnfrombooks.at.webry.info/201111/article…

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美しい日本の私

昨年は京都大学の山中伸弥教授がノーベル医学賞・生理学賞を受賞し、大きな話題となりましたが、1968年に日本人初のノーベル文学賞を受賞した川端康成氏のノーベル賞受賞時のスピーチが、 この「美しい日本の私」。 西洋人に「日本文化の美しさがどこから来ているのか」を説くような内容になっています。 キーワードは、「禅」、「王朝文化」、そして「四季」、となるのでしょうか。 道元禅師や明恵上人、良寛、一休禅師の和歌、そして、伊勢物語や源氏物語を紹介しながら、日本文化の美しさに触れていきます。 このブログを読んでいただいている皆様は、西洋諸国についつい眼が向きがちだと思いますが、時には、日本文化の美しさについて考えてみるのも良いのではないでしょうか。日本の文化は、西洋諸国のもの勝るとも劣らない素晴らしいものです。 サイデンステッカー氏の英訳も付いていますが、それも、また非常に興味深いところです。 美しい日本の私 (講談社現代新書 180)講談社 川端 康成 Amazonアソシエイト by

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