生半可な學者

ポール・オースターの翻訳で有名な柴田元幸先生が1992年に発表したエッセイ「生半可な学者」。講談社エッセイ賞を受賞した本作は、柴田先生が英語に関連する様々な事柄を雑誌に連載したものをまとめたもので、非常に楽しく読むことができます。 英語に関連したものから、英語よりもそのバックグラウンドとなる西洋文化に関連したものまで、例を挙げれば、文学はもちろん、映画や音楽から動物園やパン、果ては、学食やシュレッダーまで(!?)、そして、「なるほど!」と思うことから、笑いを呼ぶものまで様々ですが、1つ1つの章がとても短いので、忙しい日常に疲れた時や英語の勉強に疲れた時に読むと良い気分転換になります。先生も「締め切り前に身の回りの本やらCDをひっくり返して…」ということですので、片肘張らずに是非どうぞ。 生半可な学者―エッセイの小径 (白水Uブックス)白水社 柴田 元幸 Amazonアソシエイト by

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通訳者のしごと

通訳として活躍してこられて、現在、大東文化大学経済学部教授の近藤正臣先生が通訳者としての半生を振り返って、まとめられたのがこの「通訳者のしごと」です。 この「通訳者のしごと」では、実際の国際会議での状況、そこでの通訳者の役割、また、通訳になるために必要な勉強、そして、通訳のあり方・あるべき姿が書かれています。いずれも興味深い内容で、通訳する人の大変さと通訳するに至るまでの努力と知性、そして、通訳とは何かを垣間見ることができます。英語学習の観点からは多読の必要性、そして発音についての記載があります。 岩波ジュニア新書ということで、通訳の仕事を学生に紹介するにとどまらず、先生の英語の出会いや学生時代の留学についても書かれていますが、この本の内容を学生だけに限定するには非常にもったいなく、英語学習を続ける大人にも是非読んでもらいた内容です。近藤先生の文章は優しく綺麗で、失礼ながらさすが通訳者と感服しました。 通訳を目指している方はもちろん、全ての英語学習者にとって興味深い本だと思います。 通訳者のしごと (岩波ジュニア新書)岩波書店 近藤 正臣 Amazonアソシエイト by

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実践 日本人の英語

「日本人の英語」シリーズ、待望の新刊。今回は「実践編」と銘打たれています。 内容は、所有格、冠詞、時制、動詞、仮定法、副詞、接続詞などです。これまでの内容と被る部分も多いのですが、心なしか今までで一番易しいように感じました。 これは自分の実力が上がった?!ということではなく、マーク先生が「日本人の英語」を25年前に発行された時から、日本人の英語力が上がっていない、あるいは、日本人の英語力を根本的に改善させたいという欲求の表れではないかと思います。 個人的には、接続詞、特に"so"についてが勉強になりました。詳しくは、この本を実際に読んでご確認いただきたいのですが、やはり、英単語は日本語訳で覚えるだけではいけないということですね。 そして、もう1つ印象的だったのは、多読の必要性です。マーク先生もこの本の中で「良い英文をたくさん読むことだ。これは語彙を豊かにするための一番の近道である。たくさん読むうちに、そこで出会った英文の形も無意識のうちに次第に自分の文章に反映されるようになる。」とおっしゃっています。良い英文をたくさん読むことが良い英文を書くことにつながるということですね。そして、さらに「外国語でものを書くには『実践』あるのみ。勇気をもって『英語で伝える』ことに挑戦していってほしい。」と続けられています。マーク先生が大学にて英作文の添削をする中から生まれた「日本人の英語」シリーズ。この「実践 日本人の英語」は日本人が自分の意見を英語で書いて伝えることを実践できるように、とい…

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美しい日本の私

昨年は京都大学の山中伸弥教授がノーベル医学賞・生理学賞を受賞し、大きな話題となりましたが、1968年に日本人初のノーベル文学賞を受賞した川端康成氏のノーベル賞受賞時のスピーチが、 この「美しい日本の私」。 西洋人に「日本文化の美しさがどこから来ているのか」を説くような内容になっています。 キーワードは、「禅」、「王朝文化」、そして「四季」、となるのでしょうか。 道元禅師や明恵上人、良寛、一休禅師の和歌、そして、伊勢物語や源氏物語を紹介しながら、日本文化の美しさに触れていきます。 このブログを読んでいただいている皆様は、西洋諸国についつい眼が向きがちだと思いますが、時には、日本文化の美しさについて考えてみるのも良いのではないでしょうか。日本の文化は、西洋諸国のもの勝るとも劣らない素晴らしいものです。 サイデンステッカー氏の英訳も付いていますが、それも、また非常に興味深いところです。 美しい日本の私 (講談社現代新書 180)講談社 川端 康成 Amazonアソシエイト by

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アメリカ文学のレッスン

さて、今回はちょっと趣向を変えて、翻訳家としても有名な柴田元幸先生のエッセイをご紹介します。 前口上から引用させていただくと、 『~省略~、各章「名前」「食べる」「建てる」等々、何らかの鍵言葉を設定して、その言葉から思いつくアメリカ文学の作品を数点ずつ紹介している。~省略~、どの賞からお読みいただいても構わない。いろんなものをランダムにつまみ食いしていくなかで、アメリカ文学の全体像が何となく浮かび上がれば、というのが一応の到達目標であったが、~省略~』 ということなので、アメリカ文学に造詣の深い人はもちろんですが、アメリカ文学ってどんな感じなの?と思われている方、あるいは単になんとなくアメリカを感じてみたいと思われている人にも楽しく読めるのではないかと思います。 普段、英語多読に励んでおられる方々も、文学作品は敷居が高いと感じられている方が多いような気がしますが、この本を読むと、アメリカ文学を身近に感じることができるかもしれません。 個人的には、柴田先生の押し付けがましさのない文章が好きなので、とても楽しく読むことができました。 (もちろん、勉強不足なので柴田先生のおっしゃっている内容をどれだけ理解できているかは微妙ですが・・・) 柴田先生のファンはもちろん、アメリカ文学ってどんなの?って思われている方にもオススメです アメリカ文学のレッスン (講談社現代新書)講談社 柴田 …

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続日本人の英語

前回紹介した、マーク ピーターセンの「日本人の英語」の続編、「続日本人の英語」。 今回は、「オズの魔法使い」や「カサブランカ」といった映画からの引用も多く、前回よりもエッセイのニュアンスが強くなっており、リラックスして読めます。 あとがきには、「日本人は『読む』のは得意でも『書く』のは苦手という前提から出発したが、その前提を疑ってみたらどうか、というのがこの続編を書くきっかけであった。」とあります。 というわけで、今回は「英語を読む力」に焦点が当てられています。 さて、内容は、定冠詞the、可算名詞と付可算名詞、単数形と複数形、前置詞と副詞、時制等です。 前回の不定冠詞と今回の定冠詞を読めば、苦手な冠詞についての理解がやや深まるように思います。 そして、これまた苦手な可算名詞と付可算名詞については、 「燃えるゴミ」と「燃えないゴミ」の違いのようなもので、はじめは大変でも、努力すれば自然とわかるようになる、とあります。非常に面白い指摘だと思います。確かに、ゴミの分別も慣れれば苦になりませんが・・・、なかなかややこしい分別だと思います。 そして最後に、英語を理解するには、英語の中に没頭すること、 英語を英語としてあるがままに読むことが大切であり、 本当に英語を自分の体の一部とするには、「日本語にどう訳すか」ということではなく、 そ…

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日本人の英語

マーク・ピーターセンのベストセラー『日本人の英語』。もう既読の方も多いのではないのでないかと思いますが、まだの方がおられたら、是非、1度お読みになることをオススメします。 日本の大学で教鞭をとられている氏が、日本人の英文ライティングを添削してきた中で、日本人に多い間違い、勘違いを丁寧に解説してくれています。 同様のコンセプトの本も多々ありますが、学習者の立場に立った本として、他とは1線を隔しています。 冠詞の使い方、関係代名詞、副詞の使い方などは、非常に参考になりました。 特に、冠詞の使い方は、ほとんどの日本人が苦手なのではないでしょうか? ええっ!?、自分間違っている・・・、と気づくことがあります。 これまでの自分の英語の未熟さ、曖昧さが身にしみます。 1つ例をあげておくと、 1. I ate chicken last night. 2. I ate a chicken last night. どちらも正しい英文ですが、意味は全く違います。 1つはご想像通り、「私は昨晩鶏肉を食べた。」ですが、もう1つはちょっと変わった意味になります。 どちらがどちらでしょうか?これは1の文でしょうか、2の文でしょうか。 そして、もう1つの意味は何でしょう?? この答えを知りたい方は、是非、この本をお読みください。 日本人の英語 (…

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Merry Christmas & Happy New Year!

今年もクリスマスがやってきました。 1年というのは、本当に早いですね~。 皆様、クリスマスはいかがお過ごしでしょうか? 今年は、24日・25日が金曜日・土曜日となっているので、例年より、楽しいクリスマス、ロマンティックなクリスマスなのではないでしょうか? もちろん、残念なことにお仕事だという方もおられるかと思いますが、そういう方は、今年のクリスマスはきっといい景気対策になると信じてがんばりましょう(!?)。 さて、それはさておき、クリスマスというのは、ご存知のとおり、キリスト教の行事で、イエス・キリストさんのお誕生日です。 日本人は無宗教(!?)とか言われていますが、英語圏でのキリスト教の影響は多大です。そのため、英語圏の文化を理解するには、キリスト教の知識がないと理解に苦しむものも多くあります。よって、キリスト教を好き、とか嫌いとか言うのではなく、とりあえず、キリスト教の知識は最低限持っておいた方が、何かと役に立ちます。 「キリスト教徒でもないのに、クリスマスなんて・・・」とかいう気持ちもわからないではありませんが、何事も経験ということで、キリスト教の知識、特に聖書の知識をお手軽に手に入れられる新書をご紹介します。 『図説 地図とあらすじでわかる!聖書 』 関西学院大学の船本教授が聖書をわかりやすく解説。 キリスト教だけでなく、ユダヤ教、イスラム教の聖典となっている「旧約聖書」、そしてキリスト教のみの聖典「新約聖書」がわかりやすく解説されていま…

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