小泉八雲記念館・小泉八雲旧居

先日、島根県松江市にある小泉八雲記念館、それから小泉八雲旧居に行ってきました。 小泉八雲記念館には直筆の原稿、それから講義用のメモ、それから当時に発行された本などが置いてありました。中でも、興味深かったのはそれらの本とともに物語の舞台となった場面の写真の展示です。その写真を見ることで小泉八雲の書きたかった世界がより鮮明に分かるような気がしました。 小泉八雲旧居では実際に小泉八雲が使っていた書斎、机などが展示されていましたが、中でも注目すべき点は小泉八雲が気に入っていた庭です。私が行ったときにはカエルの鳴き声が美しく響いていました。こじんまりとはしながらも、日本の魅力がそこにはあります。まさしく、西洋人にとっては「知られぬ日本の面影」だったのだろうと想像できます。 島根県松江市、あまり訪れる機会もないかもしれませんが、近くに行く機会があれば、是非小泉八雲記念館それから小泉八雲旧居にも足を運んでいただければと思います。

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Kwaidan

アイルランド人の父とギリシア人の母を持つ小泉八雲こと、Lafcadio Hearnが日本に移住して耳にした日本各地に伝わるちょっと怖い昔話、それをまとめたものがこの"Kwaidan"。 今昔物語や古今著聞集などが原点の日本人であればお馴染みの話が英語で語られています。 ほとんどが知っている話ですが、"Yukionna"や"Rokurokubi"、のっぺらぼうの"Mujina"、なども読んでみると再発見もあり、非常に新鮮です。"Rokurokubi"などはもともとはそんな話だったのかと今回この本を読んで思いました。 個人的には、役人が機転をきかせる"Diplomacy" や鬼の切なさが伝わる"Jikininki"が印象に残りました。 各ストーリーとも、数ページと短いので、忙しい人や長編が苦手な方も十分にチャレンジしていただけます。 日本人が日本を外国に紹介する本としては、新渡戸稲造の"Bushido"や岡倉天心の "Tea of Book"などが有名ですが、この"Kwaidan"は外国人が日本を紹介するものとして、外国人の興味を引くものだと思います。しかも、この"Kwaidan"は単なるホラー小説ではなく、物語の中に日本人の心情や日本ならではの繊細さが含まれています。西洋化されていく中で我々が忘れている、あるいは失くしてしまった古き良き日本がこの本には外国人の手によって書かれています。 ですので、単に日本に興味を持つ外国人にはお勧めの一冊というのではなく、我々日本…

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美しい日本の私

昨年は京都大学の山中伸弥教授がノーベル医学賞・生理学賞を受賞し、大きな話題となりましたが、1968年に日本人初のノーベル文学賞を受賞した川端康成氏のノーベル賞受賞時のスピーチが、 この「美しい日本の私」。 西洋人に「日本文化の美しさがどこから来ているのか」を説くような内容になっています。 キーワードは、「禅」、「王朝文化」、そして「四季」、となるのでしょうか。 道元禅師や明恵上人、良寛、一休禅師の和歌、そして、伊勢物語や源氏物語を紹介しながら、日本文化の美しさに触れていきます。 このブログを読んでいただいている皆様は、西洋諸国についつい眼が向きがちだと思いますが、時には、日本文化の美しさについて考えてみるのも良いのではないでしょうか。日本の文化は、西洋諸国のもの勝るとも劣らない素晴らしいものです。 サイデンステッカー氏の英訳も付いていますが、それも、また非常に興味深いところです。 美しい日本の私 (講談社現代新書 180)講談社 川端 康成 Amazonアソシエイト by

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アメリカ文学のレッスン

さて、今回はちょっと趣向を変えて、翻訳家としても有名な柴田元幸先生のエッセイをご紹介します。 前口上から引用させていただくと、 『~省略~、各章「名前」「食べる」「建てる」等々、何らかの鍵言葉を設定して、その言葉から思いつくアメリカ文学の作品を数点ずつ紹介している。~省略~、どの賞からお読みいただいても構わない。いろんなものをランダムにつまみ食いしていくなかで、アメリカ文学の全体像が何となく浮かび上がれば、というのが一応の到達目標であったが、~省略~』 ということなので、アメリカ文学に造詣の深い人はもちろんですが、アメリカ文学ってどんな感じなの?と思われている方、あるいは単になんとなくアメリカを感じてみたいと思われている人にも楽しく読めるのではないかと思います。 普段、英語多読に励んでおられる方々も、文学作品は敷居が高いと感じられている方が多いような気がしますが、この本を読むと、アメリカ文学を身近に感じることができるかもしれません。 個人的には、柴田先生の押し付けがましさのない文章が好きなので、とても楽しく読むことができました。 (もちろん、勉強不足なので柴田先生のおっしゃっている内容をどれだけ理解できているかは微妙ですが・・・) 柴田先生のファンはもちろん、アメリカ文学ってどんなの?って思われている方にもオススメです アメリカ文学のレッスン (講談社現代新書)講談社 柴田 …

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Fiesta:The Sun Also Rises

短編作家として名を知られていたヘミングウェイに長編作家としての地位を与え、へミングウェイを文壇のトップへ押し出した出世作。 戦争で受けた傷が原因で性的に不能となったJakeとその元恋人Brett、そして、その友人たちを中心に、パリでの日常から、スペインの旅行を通して、彼らの虚無的な日々が描かれています。物語全体を貫くストーリーは特になく、ひとつずつのエピソードの連続です。ここで描かれているのは、酒や闘牛にあけくれる、第一次世界大戦に参加した若者たちの戦争後の姿です。この作品によって、へミングウェイはハードボイルドと呼ばれる文体を確立しました。 私自身は、ストーリー性のない話に苦手感を感じましたが、それこそがヘミングウェイの書きたかった若者たちの虚無感、戦争がもたらした虚無感なのかな、と思います。 ちなみに、この本の表紙をめくったところに、ガートルード・スタインがヘミングウェイに言った言葉、"You are all a lost generation.''という言葉が載せられており、ここから、ロストジェネレーションという言葉が使われるようになりました。 Fiesta:The Sun Also Rises 難易度 ★★★★☆ 満足度 ★★★☆☆ Fiesta: The Sun Also Rises (Arrow Classic)Arrow Books Ltd Ernest Hemingway Amazonアソシエイト by

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A Christmas Carol

文豪チャールズ・ディケンズのとーっても有名なクリスマスストーリー 貸金業を営むEbenezer Scrooge、 甥っ子がクリスマスの挨拶に来ても、''Humbug(くだらん)''の一言で追い返し、貧しい人々のための寄付もあっさりと断り、周囲の人々がクリスマスを祝っていても、彼は「クリスマスだからといって何がめでたいんだ?」というばかりでした。 そんな彼の元に、クリスマスイブの夜、一人の幽霊が現れます。 それは、なんと7年前に亡くなった彼のパートナー、Jacob Marley。 Marleyは今、いかに自分が苦しんでいるか、いかに過去の自分の行いを後悔しているかを、Scroogeに伝えます。このままでは、Scroogeも自分と同じ運命を辿ることになる。だから、それを防ぐために、翌晩の夜中の1時から、3人の幽霊がScroogeの元に現れる、と告げます。 1人目の幽霊 ー過去のクリスマスー 幽霊は、Scroogeを昔のクリスマスへと連れて行きます。 そこには、クリスマスを楽しむ、Scroogeの姿が・・・。 旧友の姿を見つけ、心躍るScrooge。 そう、彼も昔は今のような冷たい金の亡者ではなかったのです。 2人目の幽霊 ー現在のクリスマスー 幽霊は、Scroogeの知らない場所に彼を連れて行き、今、人々が、どのようにクリスマスを過ごしているかをScroogeに見せます。そこには、Scroogeの甥っ子の姿もあります。Scr…

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A Farewell to Arms

前回は、''The old man and the sea'' をご紹介しましたので、今回も引き続き、ヘミングウェイ作品をご紹介します。 この''A Farewell to Arms''、''The old man and the sea''よりも、長い小説にはなりますが、洋書を読むのに慣れてきたら、是非、読んでいただきたい作品です。 ''The old man and the sea''では、老いた漁師が主人公でしたが、''A Farewell to Arms'' では、ヨーロッパにおける第1次大戦で、アメリカ人ながらイタリア軍の衛生兵として働く、若者が主人公です。 戦時下の話にはなりますが、世界共通の男同士の話がたくさんあったり、お酒を飲むシーンがたくさんあったりするので、若い男性には、The old man and the sea よりも感情移入しやすいのではないでしょうか。 個人的な感覚をいうと、''The old man and the sea''の''サンチアゴ''は、「あんな男になれたらなぁ。」という対象であるのに対し、この''A Farewell to Arms''の''ヘンリー''は自分を重ねることができる若者という気がします。 ちなみに、私は、この作品に影響され、Dry Vermonthを飲むようになりました(笑)。 ''The old man and the sea''では、「自然に立ち向かう老人の強さ、たくましさ、そして、…

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The old man and the sea

ヘミングウェイにノーベル文学賞をもたらした、傑作短編小説。 84日間全く魚が釣れないけれども、いつもどおり漁に出る老いた漁師。 85日目についに大きなカジキを引っ掛けるが、なかなか吊り上げることができない。 大きな海を舞台にカジキと老人の駆け引きをメインに書かれたこの小説は、自然に立ち向かう一人の男性のたくましさを描いています。 主人公“サンチアゴ”は、男性であれば、あんな風に年をとりたい、と思える対象の1人かと思います。 先日、毎日新聞のアンケートで、「読んでみたい海外の古典」第1位に選ばれていました。 せっかく読むのであれば、この機会に英語で読んでみてはいかがでしょうか? 100ページという短編小説であるのに加え、ヘミングウェイ独特の淡々とした、いわゆる、そぎ落とされた文章ですので、ちょっとがんばれば、英語でも読めます。 男のロマンというと安っぽいですが、強く悲しい男の魅力ををより感じられること間違いなしです。 難易度 ★★★★☆ 満足度 ★★★★★ The Old Man and the SeaArrow Books Ltd Ernest Hemingway Amazonアソシエイト by ウェブリブログ

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